中国国家統計局は2024年3月27日、2024年1~2月の全国一定規模以上工業企業の利益を発表、前年比10.2%増とした。その名の通り、中国の一定規模以上の工業企業の利益を示すもので、10%増益なら順調。なのだが、ご存じ中国統計、実態はどうなのか。こちらもやはり投資と同じように今回から本文に「前年と比較できるもので計算、注釈参照」と追記されるようになった。【動画で見る】
実際発表された数字で計算
であれば、当然前年としっかり比較したくなる。
2024年1~2月
全国一定規模以上工業企業利益 9140.6億元
2023年1~2月
全国一定規模以上工業企業利益 8872.1億元
おう、増えてますなw さすがに投資のように、減っているのに、増えた! とはしていないw
しかし、上記の数字で計算した成長率は3%。。どうなったら10%の成長になるんだw
何の説明もなく意味不明
中国の一定規模以上の工業企業は、売上が2000万元以上の工業企業を対象としている。売上は変動するのが常だから、毎年対象企業の入れ替えが行われる。このことは、国家統計局も注釈で明記している。確かに単純には前年と比較できない。
また、国家統計局は注釈で、単純に前年と比較できない要因として、投資と同じように、企業管理を強化したため、また、統計執行を強化したために不良な企業が発覚した、さらにデータの品質向上、重複削除などを挙げている。
しかし、だからと言って、すでに発表済みのデータで計算すると3%なのに、今回発表では10%になっていることについて、何の説明もない。
基盤インフラの利益爆増
まあ、よかよか。今回発表の数字を見ていく。増益をけん引したのは電力、熱力、ガス、水生産・供給業らしい。前年同期比実に63.1%増。日本で言えば、東京電力や東京ガスなどがこの規模の増益を達成した、ということを意味する。暴動起きるでしょw
よく調べてみると、電力、熱力、ガス、水生産・供給業の利益は、2022年には大幅は減益、2023年には逆に大幅な増益となって、2024年の今回も2期連続の爆増。いくらコロナがあったからとはいえ、基盤インフラ事業がここまで減益、増益を繰り返す?
出典元:2022年1-2月全国一定企業以上工業企業利益 https://x.gd/euAPp
ロシアのウクライナ侵略とその制裁を受けて、中国ではロシアから大量の石油や天然ガスを安価で仕入れている、という情報もある。仕入れ原価のコストカットが、電力、熱力、ガス、水生産・供給業の利益を押し上げた、という可能性もあるか。
増益貢献は外資企業だった
とはいえ、中国国有企業だけで見てみると、利益の増え方はわずかに0.5%。電力、熱力、ガス、水生産・供給業の性質から、中国ではすべて国有企業のはずだが、電力、熱力、ガス、水生産・供給業の利益の押し上げが、国有企業の利益増にはつながっていない。
石炭など採掘業が21.1%の減益になっているから、国有企業の利益微増はこの影響なのかもしれないが、よく分からない。
一方で、外資企業だけで見ると、31.2%の激増。コロナ禍もあって、ここ数年外資企業の利益は大幅に下がっていたので、もともと母数が低いところに、完全脱コロナの2024年1~2月で大幅に利益を回復した形か。
数字では庶民は騙されない
経済通としても知られていた故李克強総理の時には無かった、「前年と比較できるもので計算、注釈参照」の追記が、中国の各種統計で目立つようになった。
一切の説明抜きで数値だけ発表する中国なのだから、こんな注釈してOKとしてしまえば、どんな数字でも作り放題になる。
数字は作れるかもしれないけど、それは庶民感覚とは関係ない。「中国は今もしっかり成長しているぞ!」と喧伝しても、中国人民からは見透かされ、離反していきかねない、そんなトリガーになる可能性もある。
コメント
3%も増えてないだろうwマイナスの可能性もあるんじゃね