もう無茶苦茶な中国サッカー協会(CFA)が、さすがに動き出した。第三者のサッカーファンや有識者に外部から監視してもらう、という、いわばオンブズマン制度の導入を検討している。サッカー熱が極めて高い中国において、CFAが堕落しているから中国代表がいつまでたっても強くならない、という思いを抱える中国サポータは多く、彼らにしてみれば朗報かもしれないが、問題は機能するかどうかだ。
17億円も収賄していた
湖北省黄石市の中級人民法院は2024年3月26日、収賄の罪に問われていた元中国サッカー協会主席、陳戌源被告に、無期懲役の判決を言い渡した。その地位や、運営する企業とも合わせて、8103万元、日本円にして17億円も収賄していた。
この判決では、無期懲役の他、政治的権利の終身はく奪、全財産の没収。さらに収賄によって違法に得た金銭を全額、国庫に納めるよう命じている。
八百長や審判買収、そしてこの贈収賄。CFAや中国サッカースーパーリーグの改革は、中国にとって死活問題だった。
ファンからも公募
CFAは巨額収賄の裁判を見極めたかのようなタイミング、2024年3月28日に、サッカー業界を外部から監視するオンブズマンの募集を始めた。
サッカー業界の監督管理をさらに一歩強化し、サッカー活動の透明性を向上、サッカー事業の健全な発展を促進するため、としている。
募集要項もまとめられており、それによれば一般公募としては、メディア業界関係者やサッカーファンを若干名。その他は、リーグの地域別所在地の観察部門、全国人民代表大会や政治協商会議の代表を若干名招聘するという。
主な公募条件とツッコミ
中国公民であること。中国共産党の指導を擁護し、党の路線、方針、政策を擁護し、国の法律を遵守すること。というのは、いかにも中国らしい。
サッカー事業に情熱を燃やし、サッカーのスポーツとしての発展に関心をもっていること。サッカーの知識を一定程度持っており、心身健全、原則65歳以下であること。
職責に耐えられる能力を有し、良好な道徳、品質、社会的責任感があり、品行方正であること、犯罪記録あるいはその他の社会的不良記録がないこと。いわゆる「おまゆう」なのだが。。
新たな利権化、汚職源に?
公益活動であり、報酬は原則として支払われない。それでも、今の中国代表の体たらくぶりを考えると、オレが改革してやる、と、応募が殺到する可能性もある。
しかし、こうした新たな枠組みができると、すぐに利権化するのが中国。そこにまた別の汚職源が発生して、同じように腐敗していく。いつもその繰り返し。
ただ、発想としてはいい。世界と逆行する推定有罪で有望な代表選手を守り切れないどこかのサッカー協会もあるわけで、そうした国にはオンブズマンは有効かもしれない。
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