中国国家統計局が毎月発表している中国70都市住宅販売価格指数が2023年以降、しれっと基準を変更していることが当サイトの調べで分かった。
それまでは比較基準が5年ごとに区切られていたのに対して、2023年以降は前年が比較基準になっている。2024年もそれが踏襲されている。
現時点で、この基準変更の理由や説明は確認できていない。
背景には、2022年時点でも2000年と比べて指数が下がる、つまりマイナスに転じている状況だったのに対して、このまま2000年を基準としていると、今後その傾向がより一層はっきりとしてしまう懸念からとは思われる。
また、2023年から、というのも前年2022年10月、習近平国家主席の3期目突入のタイミングとも合致、経済通として知られた故李克強前総理の影響力が無くなったこともこの基準変更を可能にした要因とも考えられる。【動画で見る】
5年ごと→前年に変更
中国70都市住宅販売価格指数は以前まで、例えば2015年のものであれば、2010年時点の価格を100として算出され、16年からは15年次を100として算出された。その後17年、18年、19年、20年もいずれも15年時点を100として算出。
21年からは20年時点を100として算出されるようになり、22年もそれは踏襲された。しかし、23年1月から、20年時点を100としたデータはなくなり、いきなり前年同月、つまり22年1月と比較して、というデータの公表が始まった。
ハルビン住宅価格大暴落
例えばハルビンは、22年に90.3となった。これは2年前の2000年と比べて10%近く住宅価格が下がった、ということを意味する。
同じようにハルビンの23年を見てみると、96.8となっている。こちらは前年の22年との比較となり、同市の住宅価格は3%強下落していることになる。
23年ももし仮に3年前の2000年と比べたとすると、22年の90.3を大きく下回り、80台に突入するのは確実。あまりにも下落が激しすぎる印象を与えかねない、と中国当局が判断したとしてもおかしくない。。
しかし、基準を変更したことで、ハルピンの住宅価格は23年、96.8にとどまり、基準変更を無視するとすれば、22年の90.3と比べ、大幅改善ともとらえられかねない。
中古住宅価格はもっと悲惨
以上は新築住宅価格についてだが、中古住宅価格はもっと悲惨だ。例えば牡丹江は22年、79.5となり、つまり2000年と比べて20%以上下落していることになる。
しかし基準が変わった23年、牡丹江のそれは92.3にとどまった。基準変更を考慮せず、二つのデータを見比べてしまうと、牡丹江の中古住宅価格が何やら急上昇したかに思える。
5年間で80%上昇した西安
ちょっと趣を変えて、2000年のデータを見てみる。ここでは2015年を100として算出している。西安では実に181.2となっている。2015年時点と比較して、西安の新築住宅価格は80%以上上昇、まさにバブル、今から見れば隔世の感がある。
トンデモ統計さらに加速中
ここ最近、何やら統計データをいじる傾向がより顕著な中国。しかしそれは、習近平3期目突入から始まっていたことが今回の件で明らかになった。
それ以前も中国の統計など信用できない、というのが世界の常識だったが、それがより悪化した形だ。
それなのに中国は外資離れを懸念して、今盛んに外資誘致を進めている。しかし、ビジネスをするのに欠かせない公的統計がこんな状態の今の中国に、好んで行こうとする外資はまずないだろう。
参考元:各年中国住宅指数
2015年データ:https://x.gd/0x3Ai
2016年データ:https://x.gd/vcAKy
2017年データ:https://x.gd/B1kU6
2018年データ:https://x.gd/CpVW7
2019年データ:https://x.gd/lKc5q
2020年データ:https://x.gd/NMAkQ
2021年データ:https://x.gd/g5ZND
2022年データ:https://x.gd/ERZqR
2023年データ:https://x.gd/RuSQb
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