中国飲料大手の農夫山泉が苦境に立たされている。きっかけは、同業の娃哈哈との対立だが、新たに発売したお茶シリーズのパッケージが日本を題材にしているとも指摘され、日本に媚びる「媚日」とも糾弾されている。その創業者で、中国を代表する億万長者である鍾睒睒氏は、もとからその息子に米国籍を取らせていることもあり、非難の的になりやすい。
娃哈哈との争い
もともと同業の娃哈哈との競争は何かと報じられていた農夫山泉。しかし2024年2月、娃哈哈の創業者である宗慶後氏が死去、中国の特にネット世論は両者の戦いで娃哈哈に肩を持つようになり、一部で農夫山泉の不買運動が展開されて、同社株価も暴落した。
同時に創業者の不幸による判官びいきか、娃哈哈の売り上げは急伸。こうした状況を受けて鍾氏は2024年3月3日、「宗兄さんとのあれこれ」と題する比較的長文の文章を公表、そこでは、宗氏とは古い仲であり、敵対関係もなく、仲良くしていたことを赤裸々に語っていた。
ただそれは鍾氏の一方的な感想に過ぎず、中国ユーザーももやもやしていたようだ。そんな時に発生したのが農夫山泉お茶シリーズパッケージ媚日事件だ。
お茶シリーズパッケージ事件
例えばその中の緑茶はパッケージに日本の寺院とよく似た三重あるいは五重塔が描かれており、「日本の浅草寺だ!」と指摘された。一説には東寺の五重塔とも推測する声も。
他にもプーアル茶のパッケージは鶴だが、これは日本の浮世絵から、紅茶は馬があしらわれているが、これは日本の徳川時代の軍馬。玄米茶は鯉のぼりであり、パッケージの文字の中にも日本が言及されているため、中国ネット上で炎上した。
結局シリーズ6種類のお茶の中で以上の4種類が日本文化を表現したもの、とされた。農夫山泉は弁明に追われ、中国文化をモチーフにしたもの、としている。確かにプーアル茶の鶴、紅茶の軍馬はこじつけ過ぎ的なきらいがあるが、玄米茶の鯉のぼりと日本記載は致命的で、中国ネット民の怒りを抑えるに至っていない。
玄米茶の日本記載は、「中国から日本に数千年前に米が伝播した」程度のものであり、現在は異説も出てきているが、そんな目くじら立てる内容どころか、むしろ中国が日本に影響を与えた、というものなのに、それが問題視されている。
日本には全く関係ないところで行われている、中国人同士の反日。全く迷惑な話でもあるが、どうでもよいように思われながら、鍾氏の息子の米国籍問題はより深刻だ。
創業者息子の米国籍問題
中国版Wikipediaにも記載されているこの事実は、農夫山泉が何か問題になるたびに指摘される。鍾氏が仮に不正、あるいは何も間違ったことを犯さなくても、中国当局から目を付けられる絶好の材料になり得るもので、中国の一部では「超特大・優良企業の農夫山泉の破産・倒産」も話題になるほどだ。
中国国民目線で見てみても、鍾氏の膨大な財産が米国に流出する、という点は看過できないものであり、火種はくすぶり続けている。ちなみに米国籍の息子さんも現在は農夫山泉で働いていると思われる。
翻訳元:https://baijiahao.baidu.com/s?id=1792880398513651292&wfr=spider&for=pc
コメント
中国のセブンイレブンの一部店舗が農夫山泉製品の店頭からの撤去を始めています。セブンイレブン中国本部は該当店舗の独自判断としています