中国の消費者物価指数、なんとプラス転換、そんなことあり得るの?

経済
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中国国家統計局は2024年3月9日、中国消費者物価指数(CPI)などの関連データを発表した。それによると+0.7%。5ヶ月ぶりのプラス転換、しかも11ヶ月ぶりの高水準となった。

CPIは、プラスになるとインフレ、要は物価高の状態となる。今の日本がこれ。

逆にマイナスになるとデフレ、物価安、不景気の状態となる。日本の過去30年がこれ。

いきなりの大幅プラス転換

中国のCPIは近年、コロナ禍もあってマイナスになる傾向が続いており、プラスになったとしても+0.2%ほどと弱く、2024年1月には-0.8%と大きくマイナスに触れ、実質的にはデフレに突入したのではないか、と考えられていた。

中国の統計データなんて。。。

しかし、ここにきての大きなプラス転換。にわかには信じがたい。中国の統計データは信用できない、と言われ続けているが、そう指摘されていることを一番知っているのも中国政府。ここで、トンデモなデータを出すというのは信用のさらなる失墜というリスクが大きすぎる。

ただ、そんなことを考えるのは常人だけなのかもしれない。

全人代では24年+3%を宣言

中国は3月初頭に中国の国会にあたる全人代を開催。そこで2024年のGDPやCPIの目標値を宣言していた。GDPは+5%前後、こちらはいつものごとく、何とでも数字を作れるので、無理やり達成するかもしれない。

CPIは+3%前後とされ、こちらは今まであまり数字が作られた、という指摘がなかったために、2024年1月-0.8%からどうやって+3%にもするんだ!と世界中から総ツッコミがあった。だから今回発表の2月+0.7%は、目標達成のための下ごしらえ、とも考えられる。

であれば、+3%って少し高すぎじゃね? ハイパーインフレとは言わないけど、結構なインフレ状態を意味する。

実際、中国の専門家も最適なインフレ状況は+2%としている人が多い。日本のインフレターゲットも+2%だ。現在の中国執行部は経済音痴とも言われるが、こんな大事な数字を勘違いするとも考えづらいが。。

前年との比較の難しさ

このプラスマイナスの数値は、あくまでも前年同月と比べて、ということ。

24年1月は23年1月と比べて、24年2月は23年2月と比べて、ということになる。

中国の最大の祝日、春節が実は23年と24年では月が異なり、23年は1月に、24年は2月にそれぞれ春節があった。つまり、24年2月の各種統計は春節があった年に対して、無かった年を比べており、大きな誤差が出る可能性が指摘されてはいた。

24年1-2月で見ると、中国のCPIは±0%。つまり24年1月の-0.8%も異常であり、24年2月の+0.7%も異常で、トータルはイーブン、引き続きデフレ圏内、というのが正しい認識なのかもしれない。

順調にマイナス続けるPPI

ただ、まだ疑問がある。関連指数として生産者物価指数(PPI)というものがあり、中国では毎回CPIと同時に発表される。

PPIは生産者の出荷時点での価格を対象としたものになっているため、その後に市場にその価格が波及していく、という意味で、CPIの先行指標ともなっている。

PPIがマイナスに触れればCPIも時間差を置いて順次マイナスとなり、逆もしかり。

その中国のPPIだが、実は13ヶ月連続マイナス。CPIの先行指標と考えると、中国はやはりデフレ基調だ、と言える。

しかし中国のPPIは24年1月は-2.5%、2月は-2.7%と、安定している。大型連休となる春節要因が大きいのはむしろ企業に関連するPPIのはずなのだが、24年の1月と2月で大きな変動がない、ということは、CPIの行って来いをどのように解釈すればよいのか、また分からなくなる。

中国経済の自信回復?

まあ、中国の統計指標を頭の中で考えても無理な気がする。一つ言えるのは、中国政府が大見得きっても、不景気は不景気に変わりはない、ということか。

ちなみに中国現地では今回のCPI+0.7%の発表を受けて、「中国経済の自信と景気が回復される!」と大喜びではある。

翻訳元:https://mbd.baidu.com/newspage/data/landingsuper?context=%7B%22nid%22%3A%22news_9283260145808948223%22%7D&n_type=1&p_from=4

コメント

  1. デフレ決定 長期停滞希望

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