24年1-2月統計、消費・投資は堅調なのに不動産販売は極端なマイナス

中国国家統計局から、中国の2024年1-2月統計データが発表された。春節期の影響を避けるために、中国では主要な統計が1-2月でまとめられるケースが多い。最近は特にトンデモな数値が出るような傾向もあり、毎月の半ばのこの発表が楽しみになってきた。

消費や投資は堅調

消費は堅調だ。若干成長率が右肩下がりにはなっているものの、GDP成長目標5％圏内を確保している。

投資も堅調で、こちらは前期と比べ1.2ポイントも跳ね上がっている。2023年は月を追うごとに低下していって、中国経済の元気なさを象徴していたのだが、2024年は幸先がいい？　しかしGDP成長目標5％圏内には到達していない。

トンデモ統計データ

よく見てみると、投資に関しては、「前年と比較できるもので計算、注釈参照」とある。その注釈には、要約すると、投資プロジェクト管理を強化したため、また、統計執行を強化したために不良な投資プロジェクトが発覚した、さらにデータの品質向上、重複削除などにより、前年と単純に比較はできない、という。

ちなみに2024年1-2月
投資(固定資産投資額)　5兆0847億元

出典：https://x.gd/aHtFw

2023年1-2月
投資(固定資産投資額)　5兆3577億元

出典：https://x.gd/Oe8VC

減ってるやんｗ　なんで4.2％増？　上記の数値を単純に計算すると、-5.1％だ。

2023年1-2月の方には本文に注釈参照などの文言もないし。。

統計データの修正は一般的によく起きる。一度は発表したけど、その後に精査してみると、あれ、おかしいぞ、というデータが見つかる場合があるのは世界共通だ。しかしそうした場合、普通の国は修正値を発表する。中国にはそれがないｗ

マイナスがプラス転換する、という、しかも10ポイント近く上昇しているのに、一切説明なしｗ　説明がない以上、「前年と単純に比較できない」とすると、いくらでも数値が作れてしまう。

気になったので、消費の方も確認しておく。

2024年1-2月
消費(社会消費財小売総額)　8兆1307億元

出典：https://x.gd/aHtFw

2023年1-2月
消費(社会消費財小売総額)　7兆7067億元

出典：https://x.gd/3puWS

おう、増えている。しかも今回発表通りきっちり5.5％。

消費に関する説明では、売上高が2000万元以上、500万元以上、200万元以上という一定額以上企業とそれ以下の企業に分け、一定額以上の企業は実数を、一定額以下の企業はサンプル調査を実施しているという。

注釈にもある通り、売上高は毎年変動する。だから一定額以上の企業も入れ替わりがある。これこそ単純に比較できない、と思うのだが、投資と違い、こちらは実数と成長率がぴったり一致している。

意味不明だ。

ヤバい！30％も減少

ともかく、もう少し調べてみると。下記のようなデータがあった。

前年比ほとんど30％減。もうこれ本当にヤバいレベル。中国新築マンション販売額だ。そりゃそうか、これだけ不動産がダメだ、と言われれば、人民だって、新築マンションなんか買う気が薄れる。

必要であれば、できるだけ安い中古物件を探すな。しかし、企業側はたまったものではない。利益の多くが新築マンションの販売からのはずで、これでは引き続き中国の不動産デベロッパによるデフォルトが続く、というか急加速する可能性すらある。

なのに、なんで消費や投資は相応に堅調な数字を出すんだ？　どう見ても無理あるだろうｗ

失業率も順調に上昇

最後に失業率の推移。

こちらは月ごと。2024年2月は5.3％。何気に7ヶ月ぶりの高水準。この数値、5.5％を超えると危ないと言われるもので、まだそこまで達していないが、予断は許さない。

もっとも、2024年の春節は2月で、その前後は退職・転職の時期ともされる。だから少し高めに失業率は出ることも想定され、季節的な要因なのかもしれない。

再び若年層失業率の発表はまた取り止めた模様。統計局の記者会見では触れられるかもしれないが。

やはりその後の会見で触れられ、毎月この発表後、3営業日で中国国家統計局のHPにあるデータベースに格納されるらしい。ただそのHP、httpsが無効になっていて、クロームから「超危険サイト」扱いされていて、アクセスするの怖いんだけどｗ

中国ではhttps無効はよくあるけど、政府サイトは大体無効。何かあるのかな？　まあ、どちらにしろ中国の経済統計データなんで、何とも言えないけど。

翻訳元：https://www.stats.gov.cn/