電動自転車でのマンション火災対策、小手先にもならない対応

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中国で、マンションのエレベーターに電動自転車を乗せないような工夫が広がっている。電動自転車のバッテリーが発火することによる大規模火災防止のため。

一部のマンションではお金をかけて、センサー付きの柵を設置、車両を検知すると音声でエレベーターから降りるよう促す。

ただ、あまりお金をかけられないマンションでは、単純に柵を設けて、電動自転車がエレベーターに進入できないようにしているものも多い。

電動自転車に乗らない人にとってはいい迷惑で、エレベータースペースがただただ狭くなるだけ。

中国のネットでは、この現象を、ベビーカーや車いすもエレベーターが使えなくなる、など否定的なコメントも多い。

南京の大規模火災のトラウマ

こうした背景には2024年2月に発生した、南京市における電動自転車を原因とするマンション大規模火災及びおびただしい死傷者が出た惨状がある。

これを受けて南京市では、電動自転車あるいはバッテリーをエレベーター内に持ち込み禁止とする消防当局の通知が発表された。

同時に、マンションにおいて、IoTやスマート化の技術を駆使して、電動自転車をエレベーターや消防設備に進入させない工夫をすることが推奨されていた。

翻訳元:https://www.sohu.com/a/736551942_162758

根本的な原因から目を背ける

電動自転車のバッテリーが発火することで、火の勢いが大きくなり、有毒ガスも発生し、それがマンション内に充満、甚大な人災へと発展することは知られている。

しかし根本的な問題は、電動自転車バッテリーの品質の悪さにあるはずだ。ここを徹底的に改善しないまま、電動自動車そのものをエレベーターに進入させない、などの措置を講じる今回の動きは、いかにも中国らしい。

中国では電動自転車が爆発的に普及、その背景にはいつも通り、低価格が挙げられる。しかし、低価格というのはすなわち品質軽視につながりやすい。高価な部品に属するバッテリーはそのターゲットになりやすい。

小手先の対応にもなっていない

爆発的に普及してしまったために、今更リコール、あるいは買換えなどできなくなっているのが現状で、根本的な問題解決には触れずに、小手先の対応で済ませようとする。

しかも電動自転車のエレベーター進入禁止、これは小手先の対応にもなっていない。南京のマンション火災は1階の自転車置き場にあった電動自転車のバッテリーが発火し、建物の吹き抜けを通じて、階上に飛び火、大惨事となった。

つまり、電動自転車をエレベーターに入れたためでも、電動自転車を居室に入れたためでもない。そもそもマンションの近くに、多くが欠陥品と思われる電動自転車があることがいけないのである。

問題はバッテリーの欠陥

仮に、マンションからそう遠くなく、火災が発生してもマンションに延焼しないようなエリアに電動自転車置き場を設置したとしても(土地の関係上非現実的)、電動自転車ユーザーはバッテリーを取り外して充電しなければならない。

どこで充電するのか? それも電動自転車置き場に専用スペースが設けられれば良いが、より現実的には自分の部屋の中で、であり、電動自転車バッテリーはどちらにしろエレベーターに持ち込まれ、居室に進入することになる。

中国では居室、あるいはエレベーターに持ち込んだバッテリーが発火するという事故も増えている。大事に至っていないからあまり報じられていないが、一歩間違えればいずれも大惨事になる。

根本的には一旦全面禁止必要

日本では劣悪な電動自転車が流通する可能性は皆無なので、想像がつきづらい中国でのこうした現象。超大国を自称する割には、何ともお粗末であり、安かろう悪かろうに依然としてこだわっている国民自体も問題。

根本的な問題解決としては、

1.メーカーに絶対に発火しないバッテリーであることを保証させる。場合によりリコールを行う

2.1に対応できない不良メーカーを完全に消滅させる

3.以上をやれば時間がかかりすぎるので、一旦強権的に電動自転車の全面禁止、回収して全部を点検、劣悪自転車は即廃棄

以上のように相当思い切ったことをしなければ、今後も中国で電動自転車が原因となるマンション火災は収まりそうもない。

この問題、当然電気自動車、つまりEVにも同じことが言える。中国が知られたくない闇の一つである。

コメント

  1. 中国ではよく、本質を突かない、というのがあります。これもそんな例の一つですね。。

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