120万円の超高級酒「誰が飲むんだ?」、CCTVの番組でバンされ炎上

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中国の超高級酒、听花酒がバンされた。CCTVの番組で、听花酒が健康に良いこと、国際特許を取得したことを喧伝していたが、前者に関しては根拠がないし、広告法に違反していること、後者に関しては、そうした事実は確認されないと判断された。この番組後、ECサイトはすべて一斉に听花酒の表示を停止、听花酒の拠点がある四川省宜賓市は、省も市もいずれも調査する旨を表明した。

BMWも標的、CCTV315

「一つの番組で報じられたからと言って、騒ぎ過ぎではないのか?」とも思われるが、このCCTVの番組、3月15日の世界消費者権利デーに合わせて、中国消費者の権利を阻害する会社や製品を徹底的に叩くCCTV315として知られ、ここで取り上げられてしまった会社は、即座に対応することがほぼ義務になっている。

以前は日本企業やその製品もやり玉にあげられたこともあったが、今年は例えばBMWが標的にされた。BMWの一部の車種で、走行時などに異音がする件について、オーナーから苦情が上がり、2023年後半、CCTVはそのオーナーに密着取材。取材期間中、BMWはろくな対応をしなかったばかりか、問題のある車種の販促を強化していた…などが番組で暴露された。

BMWは即日反応して、すでに異音の原因を特定しており、走行の安全面で問題ないことを確認している、修理することも可能、修理する場合、費用はすべてBMWが負担する、などの内容の声明を出した。CCTV315はかように影響力ある番組であり、中国の企業は毎年の3月15日、戦々恐々となる。

听花酒とは?

今回問題となった听花酒は、2020年に創業、中国酒として名高い白酒の一種。白酒は、中国発祥の蒸留酒で、コーリャン(高粱)、トウモロコシ、ジャガイモ、サツマイモなど穀物を原料とする。中国では高級白酒として茅台酒が知られており、茅台酒は企業としても優良で、中国屈指の規模を誇る企業として知られている。

茅台酒の二番煎じを狙ったのか、听花酒は5万8000元、日本円にして約120万円もする、茅台酒をはるかに上回る超高級白酒を販売、一時は中国の主要都市で听花酒の広告が氾濫した。ネット上というよりは、週刊誌、エレベーターのポスター、空港やビル、映画館における広告など、身近なところでの露出で、一気に知名度を高めた。

何かが怪しいと感じたCCTV記者は2024年初頭から取材を開始、听花酒の体験店に潜入した。その時の様子も番組では取り上げられている。

店員の営業の様子

それによれば、店内の装飾は極めて精緻でラグジュアリー、顧客が店舗に入ろうとすると、店員は熱心に接待する。いくつかの美辞麗句を並べた後、お決まりの営業トークを進める。

店員「(听花酒には)心臓や脳の血管やシステムの調整機能、抗がん効果、免疫力向上、深い睡眠と睡眠の質の改善などの効果があります」

店員「(听花酒の)核心は、私たちの身体の自律的な調整能力を刺激するもので、これは非常に偉大です」

店員「(听花酒には)男性の勃起機能改善、女性の生理不順の改善などの効果もあります」

店員「例えば50代女性がすでに閉経していたのに、听花酒を毎日飲んで生理が回復した事例もあります」

食品、広告関連法を無視

中国の法律「食品生産許可管理方法」によれば、酒類は食品に分類される。「食品安全法」によれば、「食品の広告の内容には真実かつ合法的なものが用いられ、虚偽の内容や疾病予防、治療効果に言及してはならない」とある。

また、「広告法」にも「酒類の広告では、緊張や不安が解消され、体力が向上するなどの効果があることを表現、または暗示してはならない」とあり、どちらにしろ店員の説明は違法性が高い。

その後記者は听花酒の拠点がある四川省宜賓市の工場にも取材(工場内部の取材は断られた)、また听花酒が主張する国際特許取得に関しても調査を進め、それらが法的に認められることではないものだったことが明らかになった。

翻訳元:https://baijiahao.baidu.com/s?id=1793602147602536405&wfr=spider&for=pc

番組後ハチの巣を突いたように

番組を受けて、听花酒も例外なく声明を出し、調査チームを組織して調査を開始する旨を発表した。しかし、この声明はまだ残存しているWeiboの公式アカウントで発信されたものだが、听花酒のWeChatやその他SNS公式アカウントはバンされ、削除されているという。

さらに、京東、天猫、淘宝、拼多多など中国を代表するECプラットフォーマーが一斉に听花酒の商品表示を取り止め。四川省も、同省宜賓市も、即時声明を発し、CCTV315の内容を重視、即日行動に移すことを明らかにしている。

追跡報道で、CCTV315が始まる2時間ほど前にも听花酒は公式SNSで自社製品を称賛する発信を行っており、この事態が拡散すると、火に油を注いだようになった。

CCTV315は現地時間20時から22時まで行われるが、听花酒が取り上げられたのは21時前後、その後すぐにトレンドワード入りし、21時25分にはECプラットフォーマーが表示停止、21時33分に四川省当局が、21時36分には宜賓市当局が声明を出している。ほんの30分で听花酒は中国全土から袋叩きにあった。

CCTV315の巨大な影響力と闇

日本人の感覚で分からない点も多いが、中国には、市場に信じられないほど悪辣なものが出回っていることがあり、それを取り締まることはもちろん重要だが、そんな悪辣なものならCCTV315で報じる前に通報しろよ、と思えるのだが、CCTV315で見せしめをしなければ事態が動かない、ということも多い。

CCTV315の影響力の大きさもさることながら、もう30年以上続いているCCTV315でこれだけ摘発しても、まだまだ中国の膿はなくならない、どころか増殖中、というところに中国の底知れぬ闇を感じる。

コメント

  1. 美味いのか?w 白酒で美味いと感じたことはないのだがw

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