本当にできるの? 中国閣僚「債務超過不動産企業は破産へ」

経済
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中国の倪虹住宅相は2024年3月9日、「ここで強調しておきたいことは、深刻な債務超過、経営能力喪失している不動産企業は、法律や市場メカニズムに基づき、破産させるべきものは破産、再編させるべきものは再編させることだ」と語った。

中国の多くの不動産開発大手が債務不履行に陥っているのはよく知られている。香港で破産認定されても、本社のある中国では債権回収措置が講じられず、企業として延命され続けている。これが中国不動産バブル問題解決を難しくしている、という指摘もある。

中国政府として、「債務超過不動産企業は破産へ」と打ち出したことは、上述の問題解決への意欲を示したようにも見える。ただ、世界基準で言えば、当たり前のことを言っているにすぎない。問題は「本当にできるのか?」という点だ。

倪住宅相は全人代の記者会見で、次のように語っている。

記者会見の内容

現在、不動産の問題点は資金だ。我々の調査研究によれば、良い企業にも悪いプロジェクトがあり、困難に直面している企業にもよいプロジェクトがある。

これに対して、我々は金融当局と協調して、都市不動産投融資協調メカニズムを構築、1プロジェクト1ソリューションに基づき、プロジェクトのホワイトリストを提出した。

ホワイトリストの記載のプロジェクトに関しては、誰彼の区別なく同等に扱い、不動産企業の合理的な融資ニーズをサポートする。

現在、全国31の省市区、315都市にこのメカニズムを構築しており、ホワイトリスト記載のプロジェクト件数は6000件以上に達している。

これらのプロジェクトは82.8%が民間や非国営であり、2024年2月までに、商業銀行各行は総額2000億元(約4兆円)の貸し付け審査を完了している。

中国閣僚は思いのほか下位

その後、冒頭での「ここで強調しておきたいことは」につながり、その上で、「民衆の利益を損なう行為をするものに対して、法律に基づき断固として処罰を下し、彼らの代償を支払わせる」とした。

「閣僚の発言」ということで、この倪住宅相の発言も世界中に報じられたが、中国の閣僚は思いのほか地位が低い。よく知られているように、中国は中国共産党がトップにあり、その下に中国政府がある。

中国政府の首班が総理であり、その下に閣僚がいる。日本でも、総理以外の閣僚があまり機能しないことが多いこともあるが、中国ではそれに加えて、総理の上に中国共産党が存在するのだ。

中国では、つまり閣僚が何を言おうと、総理の一任で覆ることはもちろん、総理の判断も中国共産党に覆されえるのであり、今回の倪住宅相の発言も強く、実効性が高そうに見えても、中国共産党という闇のフィルターを通じれば、雲散霧消する可能性が高い。

なぜ今も手を付けない?

日本のバブルの経緯を執拗に研究して、そうならないようにしてきたとされる中国。であれば、不良債権が発生すれば、即座に処理するのが鉄則。しかし今に至るまでそれができていない。だから、不良債権処理がされないまま時が流れ、バブルが膨らみ続ける悪循環となり、問題の先送りは、その分だけ後遺症を増すことになる。

本当に中国が対応するつもりであれば、閣僚が改めて言明するまでもなく、債務超過不動産企業は続々と破産、債権整理に進むはずだ。それが実現しないのは、あくまでも想定だが、不動産分野における中国政府より上位の中国共産党の利権構造があまりにも複雑で、どこから手を付けていいか分からない状態に陥っているからではないだろうか。

当然、それ以外でもいろいろな要因はあると思われるが、今までもできていない世界では常識、普通のことが、閣僚の発言によって劇的に変化する、ということはすこし考えづらいと言わざるを得ない。

翻訳元:https://mbd.baidu.com/newspage/data/landingsuper?context=%7B%22nid%22%3A%22news_8835586036490940986%22%7D&n_type=1&p_from=4

コメント

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