家電小売「国美」売上高は衝撃の90%減以上、債務不履行がより深刻化

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前から囁かれていたが、中国の家電小売りの国美零售がいよいよヤバい。2023年の売上高が前年比90%減以上になる見込みだと発表した。すでに債務不履行に陥っており、その総額は4000億円を超える。不動産のみならず、小売りなども不調となると、中国経済は一体どうなっていくのか。

創業者の立身出世と没落

国美零售は黄光裕氏が1987年に国美電器として創業したことが始まり。日本のヨドバシカメラやビックカメラに倣い、家電を割安で販売手法を取り、1990年代には多店舗展開を開始、最盛期には中国全土に1800店舗を展開するに至った。

黄氏が30代半ばの2004年~2008年には中国人の長者番付で一二を争うほどの権勢を見せ、事業を不動産や金融に拡大。時あたかも北京五輪の年、中国が急成長を遂げ、家電ニーズもやはりピークを迎えていた。

しかしまさにこの2008年にインサイダー取引や収賄の容疑で黄氏は逮捕されてしまう。2010年に懲役14年の刑期を言い渡され、後に刑期は2021年までに短縮される。

おしどり夫婦の妻が奮闘

おしどり夫婦として有名な黄氏の妻の杜鵑さんもこの時、懲役3年6ヶ月の判決を言い渡され、後に3年に短縮され、杜さんは出所後、黄氏に代わって国美を取り仕切り、内紛に悩まされながら、2010年代中盤には一時赤字になるなど苦労を味わいながら、夫に代わってしっかりと経営、再び黒字企業に戻すことに成功した。

この期間中の黄氏と杜さんには様々な逸話があるが、本論とは関係ないので省略する。黄氏は出所後、2022年に国美に復帰、この一報が流れると国美の株価は暴騰した。しかし時はまさにコロナ禍。ロックダウンによる外出禁止や自粛の影響を受け、中国消費者はよりオンラインショッピングへと偏重することになる。

もちろん国美もオンラインショッピングに力を入れていなかったわけではない。黄氏復帰前の2015年には日本製品だけを取り扱った日本館を立ち上げ、ビックカメラなどが呼応していた。

コロナ禍とリアルの相性の悪さ

しかし強みはやはりリアル店舗であり、さらに、触手を伸ばした不動産や金融も今ではやはり債務不履行を引き起こしており、不良債権化している。2020年末には3万人近くいた国美の従業員は2023年6月末時点で3600人程度まで急減。黄氏の復帰が国美再建とはつながらなかった。

今回、売上高は90%減以上と発表され、前年174.44億元から計算すると20億元(約400億円)を大きく割り込む見込み。しかし、のれん及び使用権資産の減損が大幅に減少し、マーケティング費用が削減されたことにより、最終赤字は前年199.56億元から比較して、45~50%ほど減るとも発表された。半減の100億元(約2000億円)としても、もうどうにもならない。

債務不履行と関連裁判

2024年2月末時点で、会社の銀行及びその他の有利子借入で利子の支払いが遅延している元本総額は192.6億元(約3860億円)。国美は現在、銀行や債権者と交渉を継続中としているが、普通に考えて支えられないだろう。

実際、会社がかかわる未判決の訴訟案件は全部で990件にも達しており、その総額は45.4億元となっている。すでに判決が出ている案件は922件で、総額130億元にのぼる。国美は現在、裁判所から1億元で単位で差し押さえが命じられ続けている。

翻訳元:https://mbd.baidu.com/newspage/data/landingsuper?context=%7B%22nid%22%3A%22news_9881239401829711013%22%7D&n_type=-1&p_from=-1

コメント

  1. 栄枯盛衰がエグイ。中国で持続可能な幸福はないのかな

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