同日に中国の2つの炭鉱で事故発生、計12人が死亡、4人が依然行方不明

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中国では2024年3月11日、安徽省と山西省の炭鉱でそれぞれ事故が発生、この二つの事故で合計12人が死亡、4人が行方不明となっている。それぞれ背景は異なるが、共通しているのはいずれも採算の良くない炭鉱だったようで、安全性の軽視が見られそうであること。

安徽省の炭鉱ではガス爆発

安徽省の事故は、同省都である合肥市の西北にある阜陽市潁上県の謝橋炭鉱。淮南礦業という企業が管理運営しており、同社は中国上場企業の淮南能源(600575.SH)の筆頭株主だ。後述するように、この謝橋炭鉱は上場企業とは直接の関係はない。

事故は現地時間同日12時10分に発生、ガスに引火することによる爆発で、当時現場では24人が働いていた。その後22人が現場から救助されたが、そもそも重傷だった8人のうち7人の死亡が確認された。2人は引き続き現場に取り残されており、救助活動が行われている。

淮南礦業は2022年、淮南能源に対して、謝橋炭鉱を含む炭鉱及び電力事業の資産を注入する計画を立てた。なぜそのような動きになったのかは不明だが、おそらく現金を獲得し、さらに上場旗艦の(今から見れば、見せかけの)バリューを向上させるためだったのだろう。つまり金儲けのため。

もともと不良な炭鉱か?

しかし淮南能源は精査の末、この筆頭株主からの提案を拒否した。理由としては、注入予定資産の生産や経営状況、財務状況に不確定なリスクがあったため、としている。つまり筆頭株主は、上場子会社に不良資産を売りつけようとしていたことになる。

謝橋炭鉱について言えば、この交渉前に明らかにされた年間生産能力は850万tだったが、その後800万tに下方修正された。謝橋炭鉱の価値は当時、7.71億元(約160億円)とされたが、生産可能な残された年数はわずかに7.07年と算出されていた。

もうすでに寿命を迎えようとしている炭鉱であるためか、安全面が放置された。ここ数年で2回、謝橋炭鉱は安全対策不備を理由に当局から罰金を徴収されている。

淮南礦業は事故前の3月7日、3月度の安全対策会議を開催していたが、以上の流れから考えると、淮南礦業による「安全」意識はまさに砂上の楼閣であり、今回の極めて深刻な事故に直接つながった可能性が高い。

山西省の炭鉱は陥没、崩落

山西省の事故は、呂梁市中陽県のある炭鉱で、同日22時45分に起きた。こちらは現場の倒壊、陥没が発生、7人が生き埋めになったが、12日早朝までに5人が救助され、命に別条はなかったことが確認されている。残り2人は依然行方不明で、捜索中だ。

この炭鉱の面積は13㎢、現在は四つの現場で採掘が進められており、埋蔵量は9271万tと見られ、採掘可能量は3719万t。もともとの年間生産能力は90万tとされたが、2014年に150万tに引き上げられた。

違法行為を行う運営元

経営としては問題なかったようだが、この炭鉱を所有する会社そのものに問題があった。理由は不明ながら、この会社は炭鉱がある中陽県で3万2806㎡の土地を許可なく勝手に占有、工場整備を始めた。

当然違法行為であり、現地政府は土地を没収している。こうしたとんでもな会社が運営する炭鉱が、安全面に配慮するとは考えづらく、事故原因の探求はこれから、とは言え、推して知るべしだろう。

さすがに1日に2回、炭坑で事故が起こるのも中国ではまれで、中国現地メディアは一斉に「安全」を連呼し始めている。それを繰り返して数十年、類似の事故は後を絶えないのだが。

いい加減、安全意識について高めてもらいたいが、地方に行けば行くほど無法地帯になっている中国で、根本的な解決が見られるのは、数十年単位でも難しそうだ。

翻訳元:https://mp.weixin.qq.com/s/ZuL6q4–ESLhX04pcFzF5g

コメント

  1. クリーンエネルギーでやっていくと宣言しているんだから、危険な炭鉱はすべて閉鎖にすればいいのに。人命軽視にもほどがある。ただ、炭鉱閉鎖しても、中国は安全軽視だらけだからな。。人命は確実に失われていく社会構造

  2. カオス過ぎるな、戦後間もなくの日本と同じような状況か。つまり70年遅れ?

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